ワクチン

提供: covid19
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出口戦略としてのワクチン[編集]

  • NZや台湾は排除(Elimination)戦略をとり,かなり厳格な水際対策(重要!)をとると同時に,感染者が増え始めた時点でロックダウンなどの強い行動制限と接触追跡,検査,隔離を徹底して新規感染者ゼロが数日続いてから制限解除とすることで,長期間にわたって国内感染ゼロ状態を維持→その状態なら行動制約不要。ワクチン接種を急ぐ必要もない。
  • ロックダウンを繰り返しても十分に抑え込めず蔓延した欧米諸国では,想定されていた中では最速で有効なワクチンが開発されたことから,ワクチン接種が進んでいる。ただし,ワクチン接種しても行動制約(NPIs)と組み合わせる必要がある。参考
  • ワクチン接種はイスラエル,英国などでは効果があったがチリでは奏功せず(BBCなどメディアが批判,BMJのNewsは,1回目接種の後対人接触が増えたせいと論じている。
  • 日本のようにワクチン確保が遅れた国や,冷蔵・冷凍運搬システムなどのインフラが未整備な途上国ではどうするか(財力の無い国にも公平に行き渡るようにCOVAXファシリティ(厚労省サイトの説明資料)という仕組みが作られ,日本も多額の出資をしているが,ワクチン確保には明らかに国間で差がある)
  • ワクチンの効果が落ちるかもしれない変異株が出現したが大丈夫か?

国内の承認について[編集]

  • 国内で接種承認申請されたのは2021年5月8日現在,以下3つで(情報源),PMDA承認済はファイザーのみだった。2021年5月21日にモデルナとアストラゼネカも特例承認されたが,アストラゼネカのものは,5月21日現在,薬事承認はされたが予防接種法に基づく接種には使えない。
    • ファイザー: mRNAワクチンで約95%の発症予防効果。おそらくPEGのアレルギーの報告あり(日本アレルギー学会報告)。長期保存はディープフリーザー要。普通の冷凍だと最長2週間有効,その後冷蔵で解凍なら5日以内に希釈,常温で解凍なら2時間以内に希釈し,6時間以内に使用。2021年2月14日承認。
    • モデルナ: mRNAワクチンで約95%の発症予防効果。-20℃冷凍でOK。PEGの問題はありそう。2021年5月21日特例承認。
    • アストラゼネカ: ウイルスベクターワクチン。Oxford Univとの共同開発なのでUKでは多用。発症予防効果は70-80%程度。血栓形成しやすいという報告があり,EU諸国で一時使用停止になった。冷蔵で6ヶ月有効なのが利点。2021年5月21日特例承認。

国産ワクチン開発について[編集]

  • 厚労省の情報によると,国産ワクチン開発は塩野義製薬,第一三共,アンジェス,KMバイオロジクスなどが取り組んでいるが2021年3月現在,どれも臨床試験中。実用化は2022年以降の見込み。

接種状況について[編集]

有効性の持続期間について[編集]

副反応について[編集]

  • Dr. Eric Topolこのtweetで知ったが,Sprent J, King C "COVID-19 vaccine side effects: The positives about feeling bad"(Science Immunology,2021年6月22日)は,mRNAワクチンの2回目の接種で疲労感,頭痛,発熱などの副反応が起こる仕組みを,インターフェロンの作用と説明していて,Dr. Topolは「ワクチンは本来の仕事をしているだけ」とコメントしている。つまりダーウィン医学風に言えば,自然の生体防御反応なので,起こって当然だし,重大な副反応と考える必要は無いということ。
  • JAMAに,mRNAワクチンを打つと精子濃度も運動性のある精子数も減らず,むしろ増えるという研究報告が載っていたのは,ワクチンで不妊になるという不安を持つ人がいるからなのだろう。ワクチンは不妊化のために意図的に接種されているという陰謀論は昔からあり,World Health Report 2007 "A Safer Future"でも触れられていたように,昔ナイジェリアで経口ポリオワクチン(OPV)がムスリム不妊化のための陰謀という噂が流れて北部のムスリムの多い地方からOPV反対運動が起こって政府がOPVを止め,既にポリオ流行が止まっていた南部だけでなく周辺諸国までポリオが再流行してしまったという事例が典型的だと思う。そもそも病気が無ければ健康な状態で注射を打つ必要も無いわけで,おそらく人間には元々ワクチン忌避の傾向があるように思われるが,こういうデマが流れるとさらに不安が煽られて,ヒトは不合理な行動を取りがちなので,最初に挙げたJAMAの研究のように,デマを否定する実測データを示すことも重要なのだろう(Ghinai I et al. (2013) "Listening to the rumours: What the northern Nigeria polio vaccine boycott can tell us ten years on", Global Public Healthも参照)。
  • もっとも,毒性学の講義で毎年最初に喋っているが,薬もワクチンも(もっといえば食物さえも)異物を体内に取り込むわけだから,どれも効果と副反応リスクのバランスに基づいて使うかどうかを決めるのが合理的な態度であることも間違いなく,空気感染する上に感染すると免疫記憶がリセットされてしまうという報告がある麻疹や,マイクロ飛沫感染し,スペインかぜ並のCFRがあるCOVID-19については,9割以上の発症予防効果があるワクチンがあったら,Science Immunologyの論文に書かれている程度の副反応がかなりの確率で起こるとしても,受ける方が合理的な判断だと断言できるけれども,ワクチン以外の感染予防が可能な性感染症や蚊媒介感染症については,そこそこの予防効果があるワクチンを打つことが合理的かどうかは一概にはいえない。医師には,わりとその辺りの議論を雑にして何でもワクチン推奨する人が多いように見えるのだが,科学的あるいは公衆衛生上の議論としては,同一視はできない。